REPORT
100kgを超える「搾りかす」を使って染色にトライ
染色に使用するのは、通常は堆肥にしたり、廃棄したりしている「葡萄の搾りかす」。色素を含む果汁が流れてしまっている状態のものです。プロジェクトは、そもそも「搾りかす」で有松絞りは染まるのだろうか?というところからスタートしました。初回の染色実験では、小牧ワイナリーから100kgを超える「搾りかす」をご提供いただき、有松で染色が行われました。染色を担当したのは、有松絞りの伝統技法を生かしながら新しい表現にもチャレンジし続ける『久野染工場』の代表・久野社長。「初めてなのでわかりませんが、どれだけ色が出るかやってみましょう!」とプロジェクトへの協力を快諾いただきました。
ほのかに染まったものの…
有松絞りは一般的に、染料を溶かした温度60~70度の釜に絞った布を入れ、ザブザブとかき混ぜながら染色します。染める生地ごとに最適な染料や助剤を使うのですが、今回は「葡萄の搾りかす」から出た染色液しばり。染めムラが出ないよう、最新の注意を払って染色が行われます。布を引き上げるタイミングは、染め職人の長年の経験がものをいう瞬間です。染め上がった布は水で洗い、脱水器で脱水して天日で干します。その結果…
独特の色合いが出たものの、布はうっすらと色がついた状態。商品にするには、さらなる改善が必要なようです。「搾りかす」だけでなく、傷んでしまって廃棄する葡萄も使ってみたら?定着を促す助剤を少量加えてみる?そもそも下地となる布の種類を変えたらどうだろう? まだまだプロジェクトは始まったばかり。
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愛知県小牧市の丘の上に建つ「小牧ワイナリー」は、ワイン醸造所でありながら、障がいのある人の就労支援施設でもあります。ここでは醸造所の他にショップ、カフェも併設し、知的障がいなどのある30人以上の人が働いています。そんな小牧ワイナリーとツグモノが取り組んでいるのが『有松絞りの葡萄染めプロジェクト』。地元愛知の伝統工芸「有松絞り」を、ワイン造りの過程から生まれる「葡萄の搾りかす」で染色するというチャレンジです。