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歴史
はじまりは、
観光土産でした。2018年、日本遺産に認定された有松地区。昔ながらの町の景観も魅力ですが、いちばんの魅力はこの地で400年以上前から受け継がれる伝統工芸「有松絞り」です。有松絞りの発祥は1608年頃。農業や宿場町としての発展が難しい有松で、東海道を往来する旅人に向けた商売を始めたのが、有松絞りの開祖 竹田庄九郎です。竹田庄九郎らは、名古屋城築城の際に九州から来た職人の手ぬぐいに着想を得て、様々な絞り技法を開発。やがて有松絞りは東海道一の名産品として名を馳せ、旅人だけでなく参勤交代で来る諸国の大名たちも立ち寄り購入するようになったそう。この有松の繁栄ぶりは北斎や広重の浮世絵に描かれたほどでした。
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特徴
縫う、くくる、
染める。有松絞りの魅力は、なんと言ってもその美しい模様。そして存在感のあるシワやヒダといった独特な触り心地です。そんな有松絞りは、大まかに6つの工程から作られます。はじめにデザインを決めて下絵を描き、型をつくる。次に刷毛で絵を刷り、布をくくって技法に応じた模様をつくる。染め工程と糸抜きを行なったら仕上げに。これらの各工程に専門の職人がいます。また有松絞りには多くの模様を生みだす技法が存在し、かつてその数は100種類を超えていたとか。現在では杢目抜い絞りや板締め絞りなど、約75種類の技法が残っています。複雑な模様を一つひとつ手仕事でつくりあげる。その職人の腕が有松絞りを支えています。
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これから
今もなお、
進化する伝統工芸。伝統工芸と言いつつも、有松絞りを手に取るのは今どきの人。有松絞りは今、様々なカタチに進化しています。かつては手ぬぐいや浴衣が有松絞りの主な商品でしたが、最近では、有松絞りを活用したデザイナーズファッションブランドを立ち上げたり、絞りを体験できるワークショップを開催するなど新たな挑戦が行われています。他にも伝統色である藍色のほか、赤や黄色などのカラフルな色合いの商品をつくったり、現代に生きる伝統工芸として、様々な新しい取り組みが行われています。
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概要
工芸品名 有松・鳴海絞(ありまつ・なるみしぼり) 工芸品の分類 染織品 主な製品 着物地、羽織、浴衣(ゆかた) 主要製造地域 名古屋市、岡崎市、半田市、刈谷市、知多半島他 イベント 有松絞りまつり(毎年6月第1土日) 開祖 竹田庄九郎 -
関連団体・連絡先
有松・鳴海絞会館
(有松絞商工協同組合)〒458-0924 愛知県名古屋市緑区有松3008番地
TEL 052-621-0111 ホームページはこちら